知ってるようで 知らなかった

装丁

『恋する音楽小説』

和田さんが生涯に手がけた装丁は、単行本、文庫本など2000冊以上にのぼります。一人の作家の本を長年にわたって手がけることも多く、阿川佐和子さんもその一人。

1997年の対談集『阿川佐和子のこの人に会いたい』に始まり、単行本、文庫を合わせ50冊以上を担当しました。装丁だけでなく、スタンダード・ナンバーをテーマにしたイベントやラジオ番組のパーソナリティを一緒に行ったり、阿川さんがホストを務めたTV対談番組のオープニングタイトルを手がけるなど、幅広く仕事に関わり、公私共に交流がありました。

この『恋する音楽小説』は2枚の絵が組み合わされています。スミ1色で人物を描いた絵とそのスミの部分に色が載るようにガッシュで色のマチエール(何色も美しく混じり合う)の絵。印刷で合わせることで、スミの部分が美しい色彩に変身する不思議な風合いの作品です。

いろんなジャンルの音楽家をテーマにした短編集で、悲しい話も明るい話もある。いろんなタイプのお話だから、色も多彩にしようと和田さんは考えました。同様のシリーズに『マチルデの肖像』があります。

『恋する音楽小説』(著・阿川佐和子)